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9月, 2022の投稿を表示しています

ワサビスタンの通信事情

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ワサビスタンでは旧ソ連時代に整備された固定電話網からの置き換えが遅まきながらも進みつつありますが、2010年頃からはスマートフォンが爆発的に普及しています。また、学校ではタブレットを使った学習が日本より早く進むなど、部分的には先進的なインフラが整っている状況です。 ワサビスタンでは旧ソ連諸国でありロシア語話者もいることから、ロシアで人気のSNS、テレグラムが市民権を得ています。勿論、FacebookやInstagram、Twitterも一定のユーザーがいます。しかしそれらに増して近年、標準的なコミュニケーションツールとして市民権を得ているアプリが “Norosy”(ノロシー)です。 このアプリでは、選択肢の中から「狼煙(のろし)」を選び、相手に送ります。文字もその他の画像も一切送ることができないため、相手との間である狼煙がどのような意味をもつか、予め決めておかねばなりません。しかし私たちが普段よく使うメッセージを思い起こすと、たとえば「今から家に帰ります」など定型的なものが多く、さほどの情報量は必要ないことが多いかと思います。こうした単機能性がウケたのか、ワサビスタンにおいては老若男女このNorosyを使っています。 この他、郵便公社のサービスが悪いことから民間の郵便サービスが普及しており、DHLやFedexのような外資に並びワサビスタン資本のサービス「ヒキャーク」(Хикяк)も使われています。これは「車を使い楽をして運んだメッセージに価値はない」という創業者ムラット・トビドーグの哲学を具現化したサービスで、郵便物を人の手・足で駅伝方式で運ぶことが特徴です。街道沿いには自社で整備した宿場町があり、そこで撮影した運び手の姿と地域の人々の姿が写真に収められ、同梱されるところが「あたたかみがある」としてユーザーの好評を得ています。(エクスプレスを選ぶと馬で運ぶため時間は大幅に短縮されます。)通信に時間を追い求める価値観からは非効率に見えますが、そもそも時間を追い求める通信はインターネットで大概は代替されるため、そこにない温かみを求めるユーザーのニーズにマッチしているといえるでしょう。また、人を多く雇うものの、街道沿いに整備した宿泊施設からの収入もあるため、サービスの費用はそこまで高価ではありません。いわば、通信業と観光業が融合したサービスといえるでしょう。また、自前で陸...

ワサビスタンにおける漁業

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ワサビスタンは内陸国ですが、河川と湖沼に恵まれているため漁業は盛んに行わされています。刺し網漁が最もひろく行われていますが、国内最大の湖であるインバー沼 (Нумач «Имбаа») では一本釣り漁も盛んです。 釣りでも食用としても最も人気があるのがタイヤーキ (тайяки)。コイやフナの仲間で身はあっさりした白身。フライで食べられることが多く、この白身魚とポテトを合わせて辛いチーズソースをかけたワサビスタン版フィッシュアンドチップス ことアゲアゲ (агежага ту агежакана - АГЕАГЕ) は冬の風物詩。公園には即席の屋台がでてウォッカやビールと共に楽しむ市民で賑わいます。 同様に人気のある魚種がニジマス (Шакке)。鮭が遡上しない内陸国ですが鮭のようにポピュラーな魚です。養殖魚としてもポピュラーなニジマスですが、この魚は珍しく串に刺された状態で養殖されており、湖畔にある養魚場兼レストランではシェフがパチンと指を鳴らすと魚が養殖池から勢いよく飛び出して火の上に飛び乗るパフォーマンスが人気を得ています。

ワサビスタンで流行中の乗り物

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  ワサビスタンでは、このところ椅子なし一輪車 ルニシクル(лунисикль) が流行中です。この一輪車はタイヤが正円ではなく若干扁平しているため安定することが特徴で、老若男女問わず市民の近距離移動手段として、或いは公園で趣味として、乗る姿がよく見られます。最近では競技会も盛んに行われており、逆立ちして乗る、空中で一回転するなど様々なトリックを「メイク」する若者が増えています。しかしながらこの競技はワサビスタン国外では全く市民権を得ておらず、競技会が国際的な広がりをみせないことに、多くの競技者が落胆しているようです。 ワサビスタン・ルニシクル協会会長 ノレン・チャリンコフ氏:「競技が国際的に広まりを見せないことに我々としては忸怩たる思いを抱えている。素晴らしいトリックがメディアを通じて欧米人の目に留まるとこで本競技の人気に火がつくよう、引き続きPRを行なってゆきたい」

ワサビスタンの食文化

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ワサビスタンの家庭料理としては、オムライス(омрайс) が有名です。オムライスはケチャップで味付けしたライスの上から薄焼き卵を載せた料理で、上からケチャップで心を込めてメッセージを書きます。メッセージとしてよく見られるのは「オムライス」という説明書き。これはチャーハンと誤認しないように、という親切な気持ちから生まれたものとされていますが、最もよく見られるメッセージです。この他、食べさせる相手の名前や自分の名前、飼い猫や隣人の名前、ときには人気歌手の名前なども好んで書かれます。但しあまり長いものだと書けないため、シンプルな文字が好まれる傾向はあるといえるでしょう。 その他、ワサビスタンの夏の風物詩として有名なものに「ムィソスィール (мысо-сыр)」とよばれる冷製スープがあります。これは細かく砕いたかき氷に、ムィソと呼ばれる豆を発酵させたペーストからつくるスープと、スィールとよばれるチーズまたは甘くない練乳をかけるものです(付け合わせとしては団子が好まれます)。日本でいうとさしずめ九州郷土料理の「冷や汁」に近いと言えるでしょうか。日本ほどではないにせよ暑い夏を乗り切るため、ワサビスタン国民に愛される料理です。

ワサビスタンの伝統芸能 ヘニョヘニョダンス

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  ワサビスタン西部、モジャモジャの丘 (Окач «Можа Можа») には紀元前300年頃に描かれたと推定される壁画が残っています(上写真)。当時の衣装をまとい踊りを踊る男性を描いたものです。「ヘニョヘニョダンス (Удури «Хенйо Хенйо»)」として今も伝わるこの踊りは、豊作を祝う秋祭りの際に踊られたとされています。 この踊りは、壁画にある通り両手をすこし曲げて広げて、「ヘーニョ ヘーニョ ヘニョ ヘニョ ヘーニョ」と小声で呟きながら腰をゆっくり回して後ろにさがる動作を特徴としており、ソ連時代には当局の禁止により廃れたものの、近年では観光客向けのショーで見ることができます。

音楽家 ナガーノ・ケンータ

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  ナガーノ・ケンータ (А. Nagaano Kenhta / А. Нагаано Кенъта, 1977-現在) は現代音楽の作曲家。1977年にソ連邦・ワサビスタン社会主義人民共和国(当時)にて音楽家の両親のもとで生まれる。 幼少期よりその鼻歌の才が認められ、16歳にてモスクワの国立音楽アカデミーに飛び級入学、若き天才音楽家として頭角を表す。しかし17歳のころ難病「ツゴーノワルイコト・キコエナイ病」を発症、音楽の道を断念。ワサビスタンのパン工場にて勤務。 2021年、パン工場にいのちの星が降ってきてそれまでの難病を克服したケンータは精力的に作曲活動を再開。年間2〜3本の楽曲を量産するケンータは再び世界の音楽シーンが注目する存在に。現在は活動の地をインドにうつし、世界に向けて楽曲の発信を続けている。 代表曲:「パパの抱っこはパパ抱っこ」「ハーゲンダッツ大好き」